本
本筋以外の味付けの部分が好き。映画ではカットされていたけれど、屋敷しもべたちのエピソードは楽しかった。ふたを開けてみればおとなたちの思惑に振り回されているだけの対抗試合だったのがたいへんむなしい。この物語をどうやって楽しむかは、おとなとし…
べらぼうに面白かった! 海やキャラクタの生き生きとした描写にしびれた。 ※リストに追加しました。 http://d.hatena.ne.jp/kikioni/20050619
収録作品:泣かない女はいない/センスなし/二人のデート 表題作はわりと好き。長嶋氏の描く場所がいつも自分の行動範囲と妙に被っていて、今回は特に自分と似た感じの主人公だったので、知らず寄り添う感じ。同居している彼が振り返って笑うシーンがよかっ…
収録作品:薬指の標本/六角形の部屋 表紙きれいー。フランスでオルガ主演で映画化されるそうだけど、むつかしそうだな。これはとにかくエロい。密室に香水が充満しているようなイメージ。匂い立つ色気、みたいな。モチーフが素敵すぎてやっぱり酔った。 ←今…
収録作品:遠い野ばらの村/初雪のふる日/ひぐれのお客/海の館のひらめ/ふしぎなシャベル/猫の結婚式/秘密の発電所/野の果ての国/エプロンをかけためんどりこの文庫が出ているのを知らなかったので、偶然見つけて感激。安房さんの本のなかに出てくる…
詩や神様についてのお話みたいだった。数学が苦手なだけに、この世の不思議を一心に背負った素晴らしい学問のように思えてきた。数学とは何かってことがちょっとわかって感動。ううむ、勉強しなおそうかなあ。。 ※リストに追加しちゃえー。 http://d.hatena.…
収録作品:山椒魚/鯉/屋根の上のサワン/休憩時間/夜ふけと梅の花/丹下氏邸/「槌ツァ」と「九郎治ツァン」は…/へんろう宿/遥拝隊長 彼の詩のファンではあったが、小説は初読み。彼の持ち前の明るさとユーモア、センチメンタルな部分や優しさ、そんな…
再読。これにて青春三部作完了。回りくどい言質に”僕”の首をときどき絞めたくなるのはおいといて、とにかく哀しい話である。鼠の”弱さ”、素敵な耳の彼女の特別な世界、そういったものが失われた後、”我々”はどうしたらいいんだろうか。読み終えてゆるやかに…
収められている詩のほとんどを朗読で聞いたことがあって、映画のような絵的な部分に面白みを感じていたのだけど、文字で読むと失恋ソングを一時間聴き続けたみたいな気分になった。けっこう哀しいのだ。冒頭のブラック・バニー・Kの気持ちのいい飛翔っぷり…
チャングムというひとはたいへんなキャリアウーマンなのである。ドラマの原作のつもりで読んだのに、チャングムと中宗(王様)以外は誰も出てこなかった。。で、これを読むまで緑服の彼らが宦官だということを失念していたのだが、そういう意味でも小説の方…
収録作品:おきなぐさ/双子の星/貝の火/よだかの星/四又の百合/ひかりの素足/十力の金剛石/銀河鉄道の夜 再読。うちにあったのはこれ。今回特に読み込んだのは「双子の星」と「貝の火」。ポウセ童子とチュンセ童子は澁澤龍彦の「唐草物語」に出てきた…
アイルランドやイギリスのあたりの精霊たちの配し方がさりげなくて素敵だった。エドマンドという少年が、4人もいる兄妹のなかでひとりだけずば抜けてお馬鹿でしょうもないのには、妙に哀れみを誘われた。ライオンと魔女が皆に背を向けて相談している挿絵がツ…
映画の方がわりと有名な気もするけれど、小説もすばらしい。4組のアメリカに渡った母と在米二世として生まれた娘たちの、ささやかな断絶と繋がりが切ない。ジョイ・ラックとは「喜福」のことで、この漢字を辛うじて理解できる日本人でよかった。 ※リストに追…
1983年に出たものなので、情報としては古い。ただ本質的なものは変わらないし、異文化との出会いを意識して書かれているので読み応えはある。もちろん意図的なものではないのだけど2005年の韓国-日本事情と照らし合わせて読めてしまうのが本書のもっとも面白…
『薄紅天女』 徳間書店 三部作なので新鮮味が失われてしまうのは仕方ないところ。でもなんというか、子どもが同じ絵本を何度も読んでーというような、物語に乗っかっていく楽しさがある。 『白鳥異伝』 徳間書店 三作目と読む順番を間違えたので、やたら勾玉…
荻原規子の物語は男の子を救うために戦う女の子の物語である。普通の少女のための物語と完全に立場が逆転しているのが面白い。えてして少女たちは思い込みが激しすぎるのだが、そのくらいでなければ開けない道もあるのかも。この本に関して言えば、ファンタ…
舞台は吉原、今の浅草というひとつのちいさな町だけど、これを読むと、ここ100年くらいでいかに日本が(価値観も含め)変化してきたかがよくわかる。国も人も形があるようでいて、かなり曖昧なものである。語り口は柔らかいが、自分だったら生き抜けたかどう…
いろいろ想像していたよりさっぱりあっさりとした感じ。そんだけか、とも思うのだけど、このくらいがいいんだろう。綿矢さん、まわりのクラスメートがバカに見えてたんだろうなあ。あくまで優等生から見た感じの冷めた視線がいい。
犯人の一番の失敗は殺す相手を間違えたことだな。やつを殺してあれを壊しておけばあとくされなかったんじゃ。。解説にもあったけれど、被害者がいちばん魅力的、というのが特に面白いところだ。スキージャンプの話。無理を承知でいうならば、百メートル以上…
ううむ、なんだか自分と似てると思うそれはすなわち行き遅れる可能性大なわけだけれども、それでも大いに励まされた。硬質で頑な、でもそれをきちんと受け入れる度量があって、すてきなひとだと思う。こういう大人になりたいなあ。
江戸というのはテレビなんかで見ていて、あれはもう一種のファンタジーなのであった。いまわたしが踏みしめている東京が「江戸」の延長上にあるってことを実感として気づかせてくれたありがたい本です。文化論ではなく精神論に近いかも。 ※ご冥福をお祈りい…
前回読んだ「江戸へようこそ」とはまた違って、こちらは日向子さん自身のエッセイ的な文章を集めた本である。最後に十数年後のことをいろいろ予想していたのがちと痛い。結婚しているかなあって、そのときは荒俣氏と(まさか!)するとは思っていなかっただ…
どことなくポーのような雰囲気が。小説としてどうかっていうより、アイルランドの暗部の歴史を語る(←ここが重要!)ゴシックホラーとして味わい深いものだった。
雪の結晶のようなものがたり。 ※リストに追加しました http://d.hatena.ne.jp/kikioni/20050619
あー、こういう本だったのか…。雑誌での連載コラムを書籍化したものをさらに文庫化したものなので、ちょっと古いか。文庫版あとがきで安野さんがちゃんと大人になっているのが面白い。 ※これ読みたい方がいたら差し上げます。
3部作の2作目という感じはする。飛ぶための助走ともいえるような。70年代という時代の空気感にどれだけ実感として迫れるかで、作品への寄り添い方が変わるような気がする。
いまどきめずらしく、だからこそ新鮮な怒れる小説である。最初の一ページで芥川賞に納得。うっかり共感しそうになってしまうのだけど、わたしは彼の憎む親戚一同にもなりうるのだから、作品への態度は保留にしておきたい。でも介護したくなければしないとい…
卑下もテンション高くこなせばいいんじゃないか(ただし自分の部屋でお願いします)と、なんか、悩んでいるひとのヒントになるといいね。。ひきこもり佐藤くん、ダメだダメだと言っているわりにとっても楽しげだ。この小説の面白いところは、ボーイミーツガ…
夏といえばホラーなんだけど、実はSFもいい。ところでこれはプロローグだし、まだ面白いのかわからない。宇宙人と戦っているようだけど、まだ何も出てこない。。