日日平安

再開しました

 ポール・オースター(一覧)

ニューヨーク三部作に限って言えば、どうしても「詩人の書いたもの」という印象から離れられない。他人との境界がくずれていく感覚というのは単に結果とか過程であって、境界という危ういモノに対しての哲学をしている。みっつとも読んでようやくオースターのしていることがわかってきた気がする。わたしは少し疲れたが、安部公房が好きなひとなどは合うのではないかと思う。

「シティ・オブ・グラス」より好きかなあ。枠組みもテーマも同じだが、洗練された感じ。ホワイトがいてブルーがいてブラックがいる。ホワイトはブラックであり、ブラックはブルーである。うまくいえないので、そういうことにしておく。

うーむ。本は娯楽として読んでいるので、ストーリーには感心しないけれど、本題である言葉に関する問題は、大なり小なりこちらも似たような問答を毎日繰り返しているので身につまされる。ただ、一読しただけではよくわからなかった。

  • 『ムーン・パレス』 新潮社

なんともいいがたいタイプの青春小説。月と偶然に関係するエピソードやアイテムがくどいが、かなりの力作で、面白かった。著者が夢中になって書いたという手ごたえがある。とはいえ、個人的にはわりと冷静に読めてしまった。
鍵のかかった部屋  シティ・オブ・グラス (Graphic fiction)  ムーン・パレス (新潮文庫)