『アムステルダム』 イアン・マキューアン
ある意味、アムステルダムというタイトルがすべての作品だが、皮肉にもアムステルダムがアムステルダムであるがゆえに、傑作になりえなかった作品ともいえる。
中盤、物語が転換を迎える場面で、”友情の不均衡”という言葉が出てきたとき、思わすクスリと笑った。友情の不均衡が最後まで不均衡のままだったらわたしはもっと気に入っただろう。
男たちに愛され、死してなお彼らに強い影響力を持ったミューズ、モリー。すべての男がアムステルダムへ向かったとき、モリーはグロテスクな女へと変貌を遂げるのだった。シニカル、という言葉がぴったりな物語だった。
- 作者: イアン・マキューアン,小山太一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/07/28
- メディア: 文庫
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