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第89回アカデミー賞に見るアメリカの光と闇

2017年のアカデミー賞で話題になった『ムーンライト』と『ララランド』を続けて観て来た。鑑賞者としてはかなりオールランダーな方だと思うのだが、やはり少し戸惑ってしまう。逆の順番で観ていたら、ララランドの余韻が吹っ飛んでいただろうな。

そもそもまったく別のベクトルの作品を同じ賞レースにかけることに無理があるので、よくいえば多様性を享受しているということで、少し引いたところから眺めるのが吉。

 

映画『ムーンライト』


アカデミー賞候補作!『ムーンライト』本国予告編

貧困とそのスパイラル、ゲイであることのマイノリティ、出口の見えない人生のなかで淡い月の光のように存在する恋。

小学生、高校生、大人と3つのパートに別れていて、3つの物語はひとつの織物ではなくてパッチワークのよう。説明が極力排除されており、物語を繋ぎ合わせるのが難しい。

作品自体になかなか没頭させてくれず、映画の出来としてはあまりよいとは思えなかった。テーマが先行しており、持てる知識を総動員させ、余白を読む想像力を要求する、観客に負荷のかかる作品。

日本人にとっては、想像はできても感覚的に理解するのは難しい。純粋に恋の物語として観たいところだが、情感にあまり訴えてこないのは、アメリカで、こういう作品を描くことの限界があるのかも。

それでもララランドの観客に冷や水を浴びせるだけのインパクトはある。

 

映画『ララランド』


「ラ・ラ・ランド」本予告

甘酸っぱい青春映画。恋愛が軸になっていはいるけれど、青春だなあと思った。ヒロインのエマ・ストーンのキラキラっぷりがスクリーン全体に溢れていて、本当に楽しい。

恋に落ちて、世界が変わって見えたり、弱くなったり強くなったり。自分の夢がうまくいかないときも、相手の背中を押してあげられるカップルが本当に可愛らしかった。

明るくて、楽しくて、ちょっと切なくて。夢のようなひとときを味合わせてくれる作品。