日日平安

再開しました

人を好きになるということ:住野よる『君の膵臓をたべたい』

Kindleにオススメされて、一章まで試し読み。読んで先が気になったのでポチ・・・はせずに、本屋で買ってきた。文庫本を。

隙間時間に平家物語Kindleでちまちま読んでいて、これはこれでいいのだけど、どうもわたしは行ったり来たりしながら読むタイプのようで、小説をじっくり読むにはもう少し慣れてからじゃないと厳しいかなと。

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

 

少し前に観た映画『ラ・ラ・ランド』でも思ったのだけど、目の前にいるひとりの人を「特別で、大切で、心から尊敬して、そしてすごく好きなんだと気づく瞬間」が大事に描かれていて、それがすごくいいなと思った。

今まで見えていた風景が一変するような、美しい瞬間だ。

若い人の書いた青春小説で、ちょっとこそばゆいところもあるのだけど、年をくった今だからこそわりと素直に読めた気もする(笑)。

文中で主人公の名前が次々に変化して行くのが面白かった。「名前」がひとつのキーワードになっているので、これから読む方は注意して読んでみるのも面白いかも。

好きなシーンは、主人公が不安を口にしてしまうところ。あまり書くとネタバレになるのであれなんだけれども、あらゆることに対してどこか他人事だった主人公が、自分を見失うくらい動揺してしまうシーンが、そしてそのときの彼の言い方が、なんだかぐっとくる感じで。

なんというか、ガチガチに鎧を着込んでいた子が、ふいに 無防備をさらしてしまったようで、うん、なんか好きなシーンだった。

・・・最後まで読んで、わたしの「ぐっとポイント(笑)」も作者の思うつぼかと思うとまたちょっとくすぐったいのだけど、作者の仕掛けがいろいろ織り込まれていそうなので、少し時間をおいて、また再読したいかも。