日日平安

再開しました

さざ波のようにぶつかり合う砂と風、音楽と踊り:DUNAS

フラメンコ界の至宝、マリア・パヘスとコンテンポラリーダンサーで振付師としても名を馳せているシディ・ラルビ・シェルウカウイのコラボレーション。

 

布や砂の演出を効果的に使い、音楽、舞台美術ともに美しい演出だった。

 

DUNASはスペイン語で“砂丘”の意味だという。その名の通り、砂と風を感じる演出に、こちらも広い砂の海に放り出されたような感覚を味わった。特に薄い布を使った演出が見事で、空間の広がりと、風を感じさせるだけでなく、やわらかに揺れ、伸縮し、波を作り、官能的でもあった。

www.bunkamura.co.jp

マリア・パヘスは円熟、といった言葉がしっくりくる。年齢のせいもあるかもしれないが、色気より母性を感じる。どこか頼りなさげなシェルカウイを優しく包み込むよう。シェルカウイの振付は、彼は影のように寄り添う形で、パヘスの魅力を存分に引き出し、パヘスのパワーが大きな柱になっている。

 

自分をかたち作る枠から一歩を踏み出し、別の世界へ手を伸ばした。その伸ばした手の先に光が当たる。それを頼りに新しい自分を更新し、模索していく。そんな美しい舞台でした。

 


Bunkamuraオーチャードホール マリア・パヘス&シディ・ラルビ・シェルカウイ『DUNAS-ドゥナス-』スポット映像(チケット好評販売中)

 

ちなみに、マリア・パヘスはリバーダンス初期メンバー。まさかシェルカウイを追っていて出会うことになるとは!

 

リバーダンスはアイリッシュダンスのショー。アイルランドを起点とし、様々なダンスと出会い影響しあい、川の流れのように一つになり、あるいは枝分かれして、アメリカにたどり着く物語。パヘスはアイリッシュとフラメンコが出会うシーンで登場します。


Maria Pages - Firedance

あけましておめでとうございます

結局ほとんど書かずに終わった2017年、さようなら(笑)。

 

■2017年観た映画

ムーンライト

ラ・ラ・ランド

GHOST IN THE SHELL

トレインスポッティング

美女と野獣

銀魂

 

■2017年行った展覧会

これぞ暁斎! ゴールドマン・コレクション(文化村ミュージアム)

 草間彌生 わが永遠の魂(国立新美術館

ミュシャ展(国立新美術館

横浜トリエンナーレ横浜美術館、赤レンガ倉庫ほか)

 

■2017年に鑑賞したもの

ライオンキング(劇団四季

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(クラシック)

チーフタンズ(ライブ)

 

どれもよかったけれど、銀魂とかトリエンナーレとかやっぱり記憶に新しい方が印象に残っているかも。トリエンナーレは今回はすごくよかったのだけど、普通の展覧会みたいな感じで、横浜でやる意義があんまりなかった気がする。

 

本は割愛。読みかけのものが多いかも。印象に残っているのはKindleで読んだ辻村深月の短編『パッとしない子』。ホラーじゃないけど、じわじわ怖い。

たとえば、子供の頃ちょっとひどいことをしてしまったとして、だいたいの人はゆるやかに忘れていくのものだけど、急に掘り返され、なじられる怖さ。たとえば、された方は忘れないものだとしても、じっと復讐の機会を待ち続けているその執念の恐ろしさ。たとえば、それが互いの記憶違いによるものだった可能性があっても修正不可能な理不尽さ。

魅力的な復讐者に、復讐にいたる正統な理由がある、と思い込まされるけれども、謝罪も弁明も巧妙に封じられてしまった主人公の感じている言葉にできない理不尽さにも共鳴し、「それはほんとうに?」と問わずにはいられない。そのうえでさらに、復讐者の感じてきた繊細な理不尽さにも共感してしまう。わたしたちは加害者と被害者に2択のように思いがちだが、どちらか一方に立っていると思うのは傲慢であまりにも鈍感である、という現実を突きつけられる。こわい。

 

ええと、2018年、こんにちは。今年はとりあえず、気になるものを見逃さないようにしたい。

人を好きになるということ:住野よる『君の膵臓をたべたい』

Kindleにオススメされて、一章まで試し読み。読んで先が気になったのでポチ・・・はせずに、本屋で買ってきた。文庫本を。

隙間時間に平家物語Kindleでちまちま読んでいて、これはこれでいいのだけど、どうもわたしは行ったり来たりしながら読むタイプのようで、小説をじっくり読むにはもう少し慣れてからじゃないと厳しいかなと。

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

 

少し前に観た映画『ラ・ラ・ランド』でも思ったのだけど、目の前にいるひとりの人を「特別で、大切で、心から尊敬して、そしてすごく好きなんだと気づく瞬間」が大事に描かれていて、それがすごくいいなと思った。

今まで見えていた風景が一変するような、美しい瞬間だ。

若い人の書いた青春小説で、ちょっとこそばゆいところもあるのだけど、年をくった今だからこそわりと素直に読めた気もする(笑)。

文中で主人公の名前が次々に変化して行くのが面白かった。「名前」がひとつのキーワードになっているので、これから読む方は注意して読んでみるのも面白いかも。

好きなシーンは、主人公が不安を口にしてしまうところ。あまり書くとネタバレになるのであれなんだけれども、あらゆることに対してどこか他人事だった主人公が、自分を見失うくらい動揺してしまうシーンが、そしてそのときの彼の言い方が、なんだかぐっとくる感じで。

なんというか、ガチガチに鎧を着込んでいた子が、ふいに 無防備をさらしてしまったようで、うん、なんか好きなシーンだった。

・・・最後まで読んで、わたしの「ぐっとポイント(笑)」も作者の思うつぼかと思うとまたちょっとくすぐったいのだけど、作者の仕掛けがいろいろ織り込まれていそうなので、少し時間をおいて、また再読したいかも。

ちょろい人っぽくてちょっと恥ずかしい、Kindle Paperwhiteを購入

電子書籍には抵抗感があったのだが、Amazonプライムに加入したのでうっかりKindle端末を入手してしまった。プライム→Kindle(無料本目当て)への流れがちょろい人っぽくて恥ずかしい。

Amazonのプライム会員になったのは配送日指定が一番の目的で、他にもいろいろ特典があるので、価格的にもまあありかなと。一ヶ月の無料体験期間ではいまいち使い方がよくわからないまま映像を見たり、音楽を聴いてみたり。

実際のところ、いいサービスだし、元は取れると思う。とくに時間に余裕があって、幅広く楽しみたいという人には向いていると思う。

でも限られた時間のなかで、目当てのものをお得に欲しいと思うと、コンテンツや検索機能は不十分で、探す時間が惜しい。普通にお金を払って、最短ルートで入手した方がストレスレスな気がする。

さてKindle。プライム無料のコンテンツは微妙すぎて、びっくりするレベル。がんばって検索をかけてみたが、その時間がもったいないという結論に至り、今後は適当にオススメをダウンロードしておくことにする。

で、さっそくKindleならではの本を購入。

 『新平家物語全一冊合本版』吉川英治

新・平家物語全一冊合本版

新・平家物語全一冊合本版

 

 全巻分で586円。文庫本だと16巻で、価格以前に置き場に困るので、こういう本に限って言えば本当に電子書籍万歳。

NHK大河の清盛が私的には面白く、一度読んでみたいと思っていたので迷わずポチ。

 まんが百人一首大辞典

 セール価格なのか、194円。Kindleの端末ではモノクロになってしまうので、こちらはパソコンに入れたKindleアプリで。

ちはやぶるのアニメを見たら、漫画よりも百人一首の方が気になってしまって、たまたま検索にかかったので購入してみた。

無駄なく必要な情報が網羅されていてよい。

文字が小さいので、パソコンじゃないときついかも。むしろ気になる歌にぱっと飛べる紙の方がいいかも。安かったから買ったけれど、最終的には紙の方がいいかも、な一冊。

余談だが、「田子の浦ゆ」のゆってなんだよ!とずっと思っていたのだけど、これは万葉集の方で、百人一首の方は「田子の浦に」なんだそう。ほぼ同じ歌だけど、少しニュアンスの異なる歌になっている。時を経て、伝えられる歌が時代に合わせて微妙に変化したようだ。

ゆとは由のことで、田子の浦をへて、みたいなニュアンス。田子の浦をへてと田子の浦に出て、なので結構感覚的には違いがある。

本の回し読み、みたいな:小泉今日子『書評集』

小泉今日子が読売新聞で書いていた書評をまとめたその名も『書評集』。

小泉今日子書評集

小泉今日子書評集

 

実家に帰るたびに楽しみにしていた彼女の書評が本になったのを知って、迷わず購入。て、ずいぶん寝かせてしまったけれど。

彼女の書評はその本を読みたくさせる。それで、友達から薦められているような気軽さがあって楽しい。時に自分の人生を重ね合わせ、時にタイムリーな出来事とリンクさせる。書評としても十分読み応えがあるが、行間から立ち上る彼女の人となりが伝わってきて、いい書評だとおもう。

自分の立ち位置から見える世界と、物語をリンクさせていく。その手法は熱っぽいのにある意味冷静で、たぶん、すごくクレバーな人だ。

書評に何を求めるかにもよるが、文章そのものは正直読売新聞で並んでいた他の書評人たちを圧倒していた。話し上手。そしてなんというか、隣に座って、「はいっ」と手渡される、そんな気分にさせてくれる書評集だ。

2周目の人生:T2 トレインスポッティング

私が今まで観た中で最も汚い映画、それがトレインスポッティング

スコットランドを舞台にダメな青年たちを描いた作品だが、独特の疾走感で走り切ったあとの風景が見えそうで見えない感じの、異彩を放つ青春映画だった。ユアン・マクレガーがとにかく格好よくて、当時の熱狂ぶりはすごかった。

あれから20年たって、同じキャストで復活。

ああ、人はそう簡単には変われない。そうか、そうだよね。

そんな20年後の結論は、また映画館に行ってしまった観客には妙に染みるはず。でも別に悪いことは何もない。


T2 トレインスポッティング2 (2017) Trailer 「WOLF ALICE LYRICS」 - Silk 日本語訳

T2を観て思ったのは、もう20年か・・・と。登場人物にだけでなく観客へも青年期の終わりを告げる作品だ。たしかにあれからもう、人生が一周回り切った感じはする。

そしてダメながらも輝いていた彼らが、ダメな輝かないおっさんになって、どこにも行けないはずなのに、でも『それで悪いことは何もない』ってやっぱり思った。

第89回アカデミー賞に見るアメリカの光と闇

2017年のアカデミー賞で話題になった『ムーンライト』と『ララランド』を続けて観て来た。鑑賞者としてはかなりオールランダーな方だと思うのだが、やはり少し戸惑ってしまう。逆の順番で観ていたら、ララランドの余韻が吹っ飛んでいただろうな。

そもそもまったく別のベクトルの作品を同じ賞レースにかけることに無理があるので、よくいえば多様性を享受しているということで、少し引いたところから眺めるのが吉。

 

映画『ムーンライト』


アカデミー賞候補作!『ムーンライト』本国予告編

貧困とそのスパイラル、ゲイであることのマイノリティ、出口の見えない人生のなかで淡い月の光のように存在する恋。

小学生、高校生、大人と3つのパートに別れていて、3つの物語はひとつの織物ではなくてパッチワークのよう。説明が極力排除されており、物語を繋ぎ合わせるのが難しい。

作品自体になかなか没頭させてくれず、映画の出来としてはあまりよいとは思えなかった。テーマが先行しており、持てる知識を総動員させ、余白を読む想像力を要求する、観客に負荷のかかる作品。

日本人にとっては、想像はできても感覚的に理解するのは難しい。純粋に恋の物語として観たいところだが、情感にあまり訴えてこないのは、アメリカで、こういう作品を描くことの限界があるのかも。

それでもララランドの観客に冷や水を浴びせるだけのインパクトはある。

 

映画『ララランド』


「ラ・ラ・ランド」本予告

甘酸っぱい青春映画。恋愛が軸になっていはいるけれど、青春だなあと思った。ヒロインのエマ・ストーンのキラキラっぷりがスクリーン全体に溢れていて、本当に楽しい。

恋に落ちて、世界が変わって見えたり、弱くなったり強くなったり。自分の夢がうまくいかないときも、相手の背中を押してあげられるカップルが本当に可愛らしかった。

明るくて、楽しくて、ちょっと切なくて。夢のようなひとときを味合わせてくれる作品。