日日平安

再開しました

2004-06-01から1ヶ月間の記事一覧

 小野不由美 『東亰異聞』 新潮社

小野不由美ってカッコイイのだなと思った。傑作ではないけれど、なかなか面白かった。明治の浅草の風景もひとつのみどころである。話としては京極堂シリーズと「虚無への供物」を足して2で割った感じか。このふたつと比べると、ラストが弱い。ちなみにハード…

 吉田修一 『東京湾景』 新潮社

恋愛小説。筆力があるので、ぐいぐい読まされるのだが、それに相反して気分は盛り下がる。序盤の素晴らしい感触が宙に浮いてしまってどうしてくれる、という感じ。恋愛に似て恋愛ではないところから恋愛の入り口にたどり着くという趣向は面白かった。趣味で…

 吉田修一 『日曜日たち』 講談社

あるアパートの住人たちの群像劇である。住人たちはお互い交わることがないのだが、同じアパートに住んでいるという他に、もうひとつ共通項があるのが面白い。やっぱり巧いなと思って、後味もよく、安心して読める作品だ。

 ベルンハルト・シュリンク 『朗読者』 新潮社 松永美穂 訳

少し変化球なところにいやらしさも感じるのだが、現代のわたしたちが受け入れるには少々重いテーマなので仕方のないところか。ミステリ、恋愛小説仕立てになってはいるが、ハンナという女性の骨太なキャラクタが、物語に深みを与えている。 ←粗筋書きすぎで…

 嶽本野ばら 『デウスの棄て児』 小学館

お金を払ってまで読みたくはないが、嶽本野ばらの作品は嶽本野ばらであるがゆえに、面白いともいえると思う。いい加減さとすべてにおいての微妙さ加減が結構好きだったりする。ちなみに天草四郎が主人公。天草四郎かよ。

 恩田陸 『MAZE』 双葉社

それでいいのかよ、それでいいのかよ、それでいいのかよ、と3回ぐらい言ってみる。嫌な気分もしないのだが、どこまでも微妙だ。

 遠藤徹 『姉飼』 角川書店

とりあえずホラーというジャンルを気にしなければ、どの作品もそれぞれ面白い。表題作「姉飼」のインパクトが強いが、まだまだ力半分な感じ。根を詰めて長編を書いたらものすごいものができそう。売れないかもしれないけど。