日日平安

再開しました

2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

 井伏鱒二 『山椒魚』 岩波書店 ISBN:4003107713

収録作品:山椒魚/鯉/屋根の上のサワン/休憩時間/夜ふけと梅の花/丹下氏邸/「槌ツァ」と「九郎治ツァン」は…/へんろう宿/遥拝隊長 彼の詩のファンではあったが、小説は初読み。彼の持ち前の明るさとユーモア、センチメンタルな部分や優しさ、そんな…

 村上春樹 『羊をめぐる冒険』 講談社

再読。これにて青春三部作完了。回りくどい言質に”僕”の首をときどき絞めたくなるのはおいといて、とにかく哀しい話である。鼠の”弱さ”、素敵な耳の彼女の特別な世界、そういったものが失われた後、”我々”はどうしたらいいんだろうか。読み終えてゆるやかに…

 しげかねとおる 『爆発するゴロー』 1000番出版

収められている詩のほとんどを朗読で聞いたことがあって、映画のような絵的な部分に面白みを感じていたのだけど、文字で読むと失恋ソングを一時間聴き続けたみたいな気分になった。けっこう哀しいのだ。冒頭のブラック・バニー・Kの気持ちのいい飛翔っぷり…

 作家 ※ちょっと整頓しました

■伊坂幸太郎 http://d.hatena.ne.jp/kikioni/20041025 ■絲山秋子 http://d.hatena.ne.jp/kikioni/20050702 ■江國香織 http://d.hatena.ne.jp/kikioni/20050602#p1 ■小川洋子 http://d.hatena.ne.jp/kikioni/20041004#p1 ■荻原規子 http://d.hatena.ne.jp/kik…

 キム・サンホン 『チャングム』 早川書房

チャングムというひとはたいへんなキャリアウーマンなのである。ドラマの原作のつもりで読んだのに、チャングムと中宗(王様)以外は誰も出てこなかった。。で、これを読むまで緑服の彼らが宦官だということを失念していたのだが、そういう意味でも小説の方…

 宮澤賢治 『銀河鉄道の夜』 角川書店

収録作品:おきなぐさ/双子の星/貝の火/よだかの星/四又の百合/ひかりの素足/十力の金剛石/銀河鉄道の夜 再読。うちにあったのはこれ。今回特に読み込んだのは「双子の星」と「貝の火」。ポウセ童子とチュンセ童子は澁澤龍彦の「唐草物語」に出てきた…

 C.S.ルイス 『ライオンと魔女 ナルニア国物語』 岩波書店

アイルランドやイギリスのあたりの精霊たちの配し方がさりげなくて素敵だった。エドマンドという少年が、4人もいる兄妹のなかでひとりだけずば抜けてお馬鹿でしょうもないのには、妙に哀れみを誘われた。ライオンと魔女が皆に背を向けて相談している挿絵がツ…

 エィミ・タン 『ジョイ・ラック・クラブ』 ソニー・マガジンズ

映画の方がわりと有名な気もするけれど、小説もすばらしい。4組のアメリカに渡った母と在米二世として生まれた娘たちの、ささやかな断絶と繋がりが切ない。ジョイ・ラックとは「喜福」のことで、この漢字を辛うじて理解できる日本人でよかった。 ※リストに追…

 関川夏央 『ソウルの練習問題―異文化への透視ノート』 新潮社

1983年に出たものなので、情報としては古い。ただ本質的なものは変わらないし、異文化との出会いを意識して書かれているので読み応えはある。もちろん意図的なものではないのだけど2005年の韓国-日本事情と照らし合わせて読めてしまうのが本書のもっとも面白…

 荻原規子 勾玉三部作(20040826)

『薄紅天女』 徳間書店 三部作なので新鮮味が失われてしまうのは仕方ないところ。でもなんというか、子どもが同じ絵本を何度も読んでーというような、物語に乗っかっていく楽しさがある。 『白鳥異伝』 徳間書店 三作目と読む順番を間違えたので、やたら勾玉…

 荻原規子 『西の善き魔女』 中央公論新社

荻原規子の物語は男の子を救うために戦う女の子の物語である。普通の少女のための物語と完全に立場が逆転しているのが面白い。えてして少女たちは思い込みが激しすぎるのだが、そのくらいでなければ開けない道もあるのかも。この本に関して言えば、ファンタ…