日日平安

再開しました

2004-10-01から1ヶ月間の記事一覧

 サン=テグジュペリ 『星の王子さま』オリジナル版 岩波書店 内藤濯訳

今さらと思いつつ初読み、面白い。これはオリジナル版で、出版時のものに近いのでしょうか。ちょうどタイ語版が手元にあったので比べてみると、絵の数も構成も、他にもいくつか細かいところが違っていて、なるほどと思ったり。

 伊坂幸太郎 『オーデュボンの祈り』 新潮社

改稿したそうだが、文章もディテールもまだまだ下手。でもそれを補って余りある魅力があり、かなり面白かった。ディテールの甘さは残念だが、それでも読後の気分が最高にいい。自転車を、漕ぎましょうっ…て、優午らぶりー。

 伊坂幸太郎 『ラッシュライフ』 新潮社

なるほど。表紙にもあるエッシャーの絵を時間軸に置き換えて小説に組み込んだ意欲作だ。惜しむらくは、個々のエピソードがなんだか薄いんだなあ。並列に戻してしまうとたいして面白くないだろう、これは。エッシャーの絵は近くでみると恐ろしく緻密なので、…

 伊坂幸太郎 『アヒルと鴨のコインロッカー』 東京創元社

伊坂氏はツボをよく心得ている。それを評価したうえで、でもやっぱりこれはあまりうまくないのではないか、と思う。好みの問題だけど、わたしとしてはまずは洟垂れ小僧を主人公にするのはやめていただきたい。あとブータンに抱いているわたしのイメージを壊…

 ヘンリー・ミラー 『クレイジー・コック』 谷村志穂訳 幻冬舎

わりと支離滅裂なんだけれども(他と比べると筋が通っている方らしいが)、解説から読むとそれそれピースなんだなと思う。ひたすら苦しそうだ。

 姫野カオルコ 『整形美女』 新潮社

絶世の美女が自分をブスだと思い込んで醜く整形するという、けんか売ってんのか、コラという話。そこがこの本の醍醐味なのだけど、整形前が卑屈でもないし魅力的なので、いまいち説得力がなくて残念。同じ女としては意味不明な存在だ。対比として置かれてい…

 衛慧(ウェイフェイ) 『上海ベイビー(上海宝貝)』 訳:桑島道夫 文芸春秋

中国では発禁処分を受けたとあるが、ほとんどの国では問題ないだろう。とにかく上海女性というのがポイントであり、それに尽きる。日本の小説では野心があり自我の強い女性が主人公というのはあまり読んだことがなかったので新鮮だった。普通に読んでも面白…

 黒田晶 『世界がはじまる朝』 河出書房新社

これも「博士の愛した数式」と同じ病気を扱っている。すげーいい加減でしたが。主人公が病気(しかも外国人の女の子)というのが変わっているかな。ハタチすぎには耐えられないひとも多かろう…。ティーンエイジャーが本当の愛を見つける話。改めて愛と言われ…

 森絵都 『DIVE!!』 全4巻 講談社

泣くと聞いていたのだが、その意味がなんとなくわかる読後感。中高生が飛び込みでオリンピックを目指すという話だが、スポ根ではなくてこれは自分探しの物語。若いっていいなあ。ウォーターボーイズでも思ったけれど、若く鍛えられた肉体にはそれだけで価値…

 森絵都 『つきのふね』 講談社

児童文学というのがまだよくわからないのだけど、対象は中学生ぐらいか。十代半ばの生意気で中途半端な道徳観念がリアル。こういうこと言う子いたよなー。ハタチ過ぎてもまだ結構いるけど。うだうだする子どもたちに「そこへなおれ!」とか言いたくなってし…

 北野勇作 『イカ星人』 徳間デュアル文庫 ASIN:4199051147

斜め読みをしていたら話がわからなくなってしまったのだが、どこまで戻ればいいのかもわからないので、最後まで斜め読み。よくわからなかった。基本的には「どーなつ」と同じ話ではないかと思われた。後になってじわじわどーなつ化現象に襲われているので、…

 北野勇作 『どーなつ』 早川書房

人工知能ならぬ人工知熊がかわいい。小分けにされた章が錯綜していて、まあ微妙なというか、境界をなくしてしまった曖昧な世界が展開している。タイトル通り、”ドーナツの穴”的な作品なんだろう。表紙は西島大介氏。

 小川洋子 『沈黙博物館』 筑摩書房

おどろおどろしいイメージをしていたら、案外ライトで読みやすかった。さみしいような暖かいような、不思議な印象の物語。わりと面白かった。でもマニアックな博物館なのだし、もっとカリカリしていた方がいいかなあ。佐藤亜紀が同じ題材で書いたらすごそう……

 小川洋子 『貴婦人Aの蘇生』 朝日新聞社

思わずにんまりとしてしまう、楽しい読後感。アナスタシアとニコの、わが道をひたすらゆく姿が気持ちいい。ニコみたいなひとを恋人にしたいなあと思ったけれど、わたしには捕まえられないだろうなあ。

 小川洋子 『博士の愛した数式』 新潮社

小川氏の普段の作品と大きく違うわけではないのだけど、これだけ売れたというのはやはり老人と子ども、という図式にみんな弱いのだろうなあ。あ、というより、数学と記憶障害か…?。彼女の作品は常に愛が満ちていて、その姿勢が素晴らしいなあと思う。雑念が…

 小川洋子 『薬指の標本』 新潮社

収録作品:薬指の標本/六角形の部屋 表紙きれいー。フランスでオルガ主演で映画化されるそうだけど、むつかしそうだな。これはとにかくエロい。密室に香水が充満しているようなイメージ。匂い立つ色気、みたいな。モチーフが素敵すぎてやっぱり酔った。 ←今…