日日平安

再開しました

2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

 福田利子 『吉原はこんな所でございました―廓の女たちの昭和史』 社会思想社

舞台は吉原、今の浅草というひとつのちいさな町だけど、これを読むと、ここ100年くらいでいかに日本が(価値観も含め)変化してきたかがよくわかる。国も人も形があるようでいて、かなり曖昧なものである。語り口は柔らかいが、自分だったら生き抜けたかどう…

 綿矢りさ 『インストール』 河出書房新社

いろいろ想像していたよりさっぱりあっさりとした感じ。そんだけか、とも思うのだけど、このくらいがいいんだろう。綿矢さん、まわりのクラスメートがバカに見えてたんだろうなあ。あくまで優等生から見た感じの冷めた視線がいい。

 東野圭吾 『鳥人計画』 角川書店

犯人の一番の失敗は殺す相手を間違えたことだな。やつを殺してあれを壊しておけばあとくされなかったんじゃ。。解説にもあったけれど、被害者がいちばん魅力的、というのが特に面白いところだ。スキージャンプの話。無理を承知でいうならば、百メートル以上…

 向田邦子 『無名仮名人名簿』 文芸春秋

ううむ、なんだか自分と似てると思うそれはすなわち行き遅れる可能性大なわけだけれども、それでも大いに励まされた。硬質で頑な、でもそれをきちんと受け入れる度量があって、すてきなひとだと思う。こういう大人になりたいなあ。

 杉浦日向子 『江戸へようこそ』 筑摩書房

江戸というのはテレビなんかで見ていて、あれはもう一種のファンタジーなのであった。いまわたしが踏みしめている東京が「江戸」の延長上にあるってことを実感として気づかせてくれたありがたい本です。文化論ではなく精神論に近いかも。 ※ご冥福をお祈りい…

 杉浦日向子 『大江戸観光』 ちくま書房

前回読んだ「江戸へようこそ」とはまた違って、こちらは日向子さん自身のエッセイ的な文章を集めた本である。最後に十数年後のことをいろいろ予想していたのがちと痛い。結婚しているかなあって、そのときは荒俣氏と(まさか!)するとは思っていなかっただ…