日日平安

再開しました

 姫野カオルコ 『ツ、イ、ラ、ク』 角川書店

かなり面白かった。描写がきめ細やかで感心した。恋愛モノと聞いていたので、いきなり小学生がぞろぞろ登場して面食らったが、なんとなく納得もさせられる。女の子の人間関係って怖いなあ。作者は賢そうだなあ。ふむ。一度囚われた人は難儀だなあと思う。しかし男子が読んでも面白くないかもなあ。
ツ、イ、ラ、ク
物語は小学時代からはじまって、14歳で恋に落ち、最終的には30代半ばになってようやく主人公の物語に決着がつく。ハッピーエンドが必要ないと思ったのはわたしが諦めているせいかもしれない。タイトル通り、これは恋に落ちた女性の物語で、落ちるというのはこの場合フォールインラブではなくて、囚われてしまった、まさしく墜落してしまったということである。出会いから別れまでの時間はほんのわずかで、けれど主人公はその後20年も囚われ続けることになる。その20年を思う。ひとは皆囚われ続けるものなのだろうか。それともこの主人公のようなケースは稀なのだろうか。