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日日平安

再開しました

 村上きわみ・歌 『fish』 ヲバラトモコ・画 ヒヨコ舎

短歌とイラストレーションのコラボ本。インクの匂いが漂ってきそうな印刷と迫力ある大きな文字で、開くだけで萌え、な本だ。正直短歌というものがよくわからないのだが(でも、この歌集は比較的わかりやすいのではないかな)、歌もひとことで言えば、萌え、である。章ごとにはさまれる散文もとてもよくて、これはなんだか悔しい。

 「つつきます。離れてください」
 離れればひとかたまりの黒
 ペンギンは

↑これは一番好きな一句。うへへ。

 喩のための
 喩になることもあればただ
 飾り気のない性交をする

この本にはたくさんの生き物がでてくる。哺乳類と魚類を中心に、爬虫類までも。そして(絵の効果でもあるが)放課後、もしくはうらさびれた路地裏のような、時間でいうならば夕暮れ時の埃っぽさというような、ある種のほんわりとした淋しさが存在している。いっぽうで、夜の部では(笑)ひりひりとするような、あまり優しくない感じの情交というか、生々しい歌も混じりこみ、村山氏のイメージがわたしのなかでは定まらない。でもひとついえるのは、自分を含めた対象とつねに一定の距離を置いている、ということだろうか。
Fish ― 村上きわみ短歌集
※新たに詩歌の本も追加してみようかと。